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背景・経緯
ベトナムではHIV感染者が20万人から26万人いるとされており(UNAIDS, 2018)、これはアジア大洋州地域で5番目に多い数です。これまでの様々な取り組みや支援によって、エイズ発症及び死亡者数は抑えられてきましたが、未だHIV感染症はベトナムの重要な健康問題の一つです。国立国際医療研究センターは、文部科学省「新興・再興感染症研究拠点形成プログラム」(2005-2009年度)「新興・再興感染症研究拠点形成プログラム」(2010-2014年度)日本医療研究開発機構(AMED)「感染症研究国際展開戦略プログラム」(2015年度-2019年度)に基づき「ベトナムにおける長崎大学感染症研究プロジェクト」の協力機関としてベトナムでの感染症研究に参画し、インフルエンザ、結核、薬剤耐性菌およびHIVの研究を行ってきました。エイズ治療・研究開発センター(ACC)は、HIVに関連した部分を担当し、アジア人に最も有効な治療法の開発や治療提供体制の構築に向けた臨床研究を行いました。
これまで、ベトナムは米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)や世界エイズ・結核・マラリア対策基金(Global Fund)など海外ドナーからの資金的支援のもと、HIV診療が無償で提供されてきました。しかし、経済が発展し中所得国になり、2016年ベトナム政府は医療保険制度を導入し、HIV診療を地方レベルで提供することを決定しました。保険料や治療費といった患者自己負担が発生することや、地方病院スタッフのエイズ診断・治療の知識や経験は十分でないことから、服薬アドヒアランスの低下や不十分な治療による薬剤耐性HIVの蔓延が懸念されています。このような背景から、ACCは2019年4月より、日本医療研究開発機構(AMED)と国際協力機構(JICA)が共同で実施する「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」(2019-2024年度)のもと、新たな研究プロジェクトを実施しました。
ACCの理念である「患者さんと共に作り上げる医療」を、ベトナムの地でも根付かせたい、という想いを胸に、患者さんの利益を重視し、臨床上の課題を克服することを目標としています。