薬剤耐性セミナー&ケースカンファレンスをオンライン開催!
SATREPS 2020年12月4日
引き続き、ベトナム国内の状況は落ち着いているものの、新型コロナウイルス感染症により国際往来が困難な中でのこのSATREPSプロジェクト活動。2020年10月27日はオンラインで日越間を結び、薬剤耐性セミナー&ケースカンファレンスを実施しました。
ベトナム側は4つのパートナー病院からの参加者がNHTDに集合することができました
抗レトロウイルス薬によるHIVの治療は、格段の進歩を遂げています。その一方で、薬を処方通りに服用しないことでウイルスが変異し、薬剤耐性を獲得してしまう問題は、他の病気の例に漏れず、HIV治療の現場にとっても大きな課題です。薬剤耐性ウイルスが流行すると、期待していたように薬が効かなくなるため、薬剤耐性の発生状況を遺伝子検査で把握し、薬を変更する必要が出てきます。
今回はその薬剤耐性をテーマに、日本人専門家によるセミナーを行いました。併せて、ベトナム各地の病院が対応が難しい症例を持ち寄って議論する、「ケースカンファレンス」も実施しました。
日本側からも照屋医長、田沼医療情報室長の熱心なご参加を頂きました
まず初めに、 ACC照屋医長による薬剤耐性、服薬指導に関するセミナーを実施。それに続いてACC田沼医療情報室長によるファシリテーションのもと、各病院から持ち寄られた症例に関する議論を行いました。同じ病気を扱いながらも、日本とベトナムでは手に入る薬の種類が異なるなどの違いがあります。そんな制約の中で、両国の専門家同士で共通の悩みを出し合い、HIV感染者がきちんと薬を飲み続けられる服薬指導はどうあるべきか、薬剤耐性がみられた際の処方はどう変えて行ったらよいかに関して、議論が行われました。
画面を通じてにはなりますが、それでも両国の専門家同士が顔を見て意見を交わせるのは嬉しいことです
まだまだ慣れないオンラインセミナーという形式の中、音声や画面の不調があったり、通訳の入れ方や離れた場所での議論運営の仕方等、難しい面もありました。ですがそれ以上に、日越間でこうやって直接議論することができたのはとても意義のあることでした。
また、ベトナム側参加者は国立熱帯病病院(NHTD)に一堂に会することができました。今後のプロジェクト活動に関してのアイディアを頂けたことに加え、同じ現場での悩みを抱える医療関係者の横のつながりの構築のきっかけになったのではと思います。今後もまだ暫く、日本側とベトナム側とではオンラインが多くなるとは思いますが、こういったイベントやディスカッションの機会を作り、現場での治療に役立てられるようにしたいと考えています。
セミナー、カンファレンスの合間には、参加のベトナム人同士でも意見交換、議論が行われました