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Activities活動内容

ハノイ医科大学とHIV・AIDS、性感染症、PrEPに関するワークショップを開催しました

SATREPS  2021年5月13日 

 JICA-SATREPSプロジェクトは、HIVに対する抗レトロウイルス療法(ART)の質向上とモニタリング体制確立を目標としています。HIV感染リスクの高い非感染者に対する曝露前予防(Pre-Exposure Prophylaxis、通称「PrEP」)に関する研究も大きな柱の一つです。PrEPとは、事前に抗レトロウイルス薬(ARV)を飲むことでHIV感染を防ぐ方法です。PrEPがきちんと予防効果を果たしているか、薬剤耐性ウイルスによる失敗例が無いか、飲んだ薬の血中濃度はしっかり保たれているか、などの研究が進められ、これらを通じて、失敗のないPrEP普及を目指しています。このプロジェクトでは、現在ベトナムでPrEPの普及に取り組んでいるハノイ医科大学(HMU)と、HMUが運営するクリニック(Sexual Health Promotion clinic、通称SHP)と協力し、PrEPに関する研究を行っています。

 新型コロナウィルス感染症が猛威を振るい国際往来が引き続き難しい中、日本とベトナムで実施されるPrEPや関連する性感染症への対応など、異なるテーマでの議論を深めようということとなり、その第1回目として、2021年4月14日(水曜日)に日越双方におけるPrEP提供の在り方についてHMUとオンラインワークショップを開催しました。

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日本側からはプロジェクトリーダーの岡慎一センター長を始め多くの医師が参加。
塩尻大輔医師が日本での「遠隔PrEP」に関して発表しました。

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ベトナム側からはハノイ医科大学のSHPクリニックでのPrEPの取り組みについて発表がありました。
参加者は日本側の経験にも熱心に耳を傾けていました。

 今回のワークショップでは、まずベトナム側からベトナムにおける新型コロナウィルス感染症の推移のあらましや現在も続く感染防止対策期間中のSHPのPrEPの取り組み、SHPでの新型コロナ感染予防対策やその中での課題が報告されました。日本側からは、クリニックでの診療と組み合わせて実施されつつあるインターネットを活用した遠隔PrEP(Tele PrEP)を紹介しました。Tele PrEPは高い継続率と、情報が限られがちな地方での有用性が特徴です。ディスカッションでは、Tele PrEPで用いられている郵送検査の手法についてベトナム側から活発に質問があり、議論が盛り上がりました。

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お互いの発表を受け、コロナ禍での課題や検査手法等について活発に議論を交わしました。

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ベトナム側からの熱意は画面を通じ、オンラインで日本側に届きました。

 ワークショップ終了後には、早速次回のテーマ候補として今回議論で話題となった性感染症の検査方法が挙げられるなど、今後の定期開催に向け、順調な滑り出しとなりました。このプロジェクトではオンラインを活かした活動を含め、引き続き日本とベトナム両国の医師や研究者の活動を支援し、HIV診療の改良に貢献したいと考えています。