HIV薬剤耐性に関するトレーニングワークショップ開催!
SATREPS 2022年9月9日
SATREPSプロジェクトは「科学技術協力」と呼ばれる支援の方式で、共同研究の成果による途上国の社会問題解決を目指すものです。そのような共同研究の枠組みの中でも、相手国への技術協力の要素はとても重要。今回は研究成果を発表するセミナーではなく、プロジェクトのパートナー病院として日頃サンプリングなどにも協力頂いている10病院から参加者を募り、HIV薬剤耐性に関する知識を学び、患者さんに如何にきちんとお薬を飲んでもらえるようにするか、などの課題を共有するワークショップを8月19日に開催しました。
プロジェクト側からは、開始後3年を過ぎた段階での中間結果を踏まえつつ、その中で実施してきたHIVウイルス薬剤耐性検査と薬剤耐性をきちんとモニタリングし、対応することの重要性を示しました。次に、プロジェクトリーダーであるACC岡センター長が、HIVウイルスに薬剤耐性変異が起こる原理、変異が起きた際の対応策の基礎について講義しました。
薬剤耐性ウイルスに関して講義を行う岡センター長
コロナ感染がやや落ち着くベトナム・ハノイ、ようやく関係者が一堂に会することができました
岡センター長からの講義を踏まえ、参加者との質疑応答、各病院が抱える治療困難な症例ケースについての議論などを行いました。HIV薬剤耐性と言っても一回ではなかなか消化しきれない大きなテーマ。病院ごとに色々な状況と課題がある中で、こういった議論の中から次のテーマを探していき、次回以降のトレーニングワークショップにもつなげたいと思っております。
2019年から実施のSATREPSプロジェクトですが、2020年以降はコロナ対策のため会議やワークショップはオンラインが続き、オフラインでも人数をかなり制限しての実施が続きました。会議の内容ももちろんですが、今回はメインカウンターパートである国立熱帯病病院に加え、パートナー病院の関係者が活動レベルで一堂に集う初めての機会になり、そうした意味でも大変意義深いものとなりました。
現在プロジェクトにおいては、ACCの医師が薬剤耐性検査結果を踏まえた薬剤選択をアドバイスし、各病院へ検査結果と共にフィードバックしています。トレーニングを通じて、将来その役割をベトナム地方病院の医師の先生方が担えるようになって頂きたいと思っています。従来ドナー主導での支援が大きかったHIV治療は、ベトナム医療保険システムへ移管してきています。その中で、今後HIV治療も地方病院で実施されるものが増えていきます。そこで大事になるのは各地方の医師、看護師の皆さんの役割です。そういった次の時代のHIV治療に役立つ人材を育てる活動も、更に実施していきたいと思います。