ベトナム医療ナウ 新聞Tuoi Tre、医薬品調達の課題を報道
2022年6月10日
新聞Tuoi Tre、医薬品調達の課題を報道
ベトナムの日刊紙Tuoi Tre(若者)新聞は、2022年5月27日付で、ベトナムの多くの患者・病院で「金があっても、薬が買えない」状態が頻発していると、保健省の医薬品調達許認可制度の課題を一面トップで報じた。1
ベトナムの多くの患者・病院で「金があっても、薬が買えない」状態が頻発している。 これには保健省の医薬品調達許認可制度の問題がある。大きく二つの問題があり、一つは医薬品登録制度における「登録番号期限」の問題で、登録番号の自動更新システムがないため、成分や包装などに何も変更が無くても手続きを最初からやり直すので「書類の洪水」が生まれ、手続きが滞る状況が続いている。二つ目は調達価格設定の問題で、医療機器・医薬品などの調達価格における基準価格の設定が適切になされておらず、その結果高い調達価格を招いている。
HIV治療の現場でも、薬が足りない状況が生じている。長年国際ドナーが薬を提供してきたHIV治療の現場だが、社会保険制度への移行により、今年は保健省がHIV治療薬の調達を行って3年目になる。治療薬は入札により調達されているが、11種中2種類の薬(Tenofovir disoproxil fumarate 300mg2種)に応札がなく、同薬の有効な登録期限を持つ35社の内、30社は今後も応札の予定がない。また、11種中4種の薬で入札不成立となり、うち3種では応札が一社のみ、かつその一社も条件を満たさなかった。
現在6種類の薬に関して、再度国際ドナーの援助を依頼するか、他部局に調達を依頼するか、医療保険に入っているのにもかかわらずHIV感染者に自身で調達させるか、の選択肢しかない状態となっている。国際ドナーといえど、2022年内での急な予算調整はできず、2023年以降の予定で検討するしかない状況である。
昨年2021年には各部局が薬剤を調達できないため、結局約83億ドン(4600万円強)が国家プログラムに返納されたと関係者談が紹介されている。
プロジェクトでかかわるHIV治療の現場でも「薬が安定的に供給されないがゆえにレジメンを変えている」ケースが散見されます。調達の安定も重要な課題の一つです。