第2回HIV薬剤耐性セミナーをハノイで開催しました
SATREPS 2022年12月27日
10月27日午後、SATREPSプロジェクトに参加する各病院においてHIV診療の現場で働く看護師や公衆衛生専門家、医師約50名が参加し、HIV薬剤耐性とアドヒアランス支援をテーマに第2回薬剤耐性セミナーを実施しました。今回の薬剤耐性セミナーは、8月にハノイで実施した第1回ワークショップと12月に日本で実施する予定の第3回セミナーと併せた薬剤耐性知識向上に向けた一連の取り組みの一つです。
前半はHIV治療の大きな障害となり得る薬剤耐性ウイルスに関する基礎知識や薬剤耐性変異の機構、多職種によるアドヒアランス支援や薬剤耐性変異にかかる要因、日本での薬剤耐性変異に対応する臨床管理など、日越の専門家が講義を行い知識を深めました。
薬剤耐性セミナーには午前の看護師等交流会に参加した看護師・公衆衛生専門家に加え、医師も多数参加しました。
後半はケーススタディが行われ、活発に議論が進められました。薬剤耐性ウイルスとはどういったものなのか、どのように防ぐか、いかにHIV感染者の服薬継続を促し、抗レトロウイルス療法(ART)を成功させるか等について議論しました。また、服薬カウンセリングは、アドヒアランス不良の患者さんに対する標準的な対応としてベトナムのガイドラインで示されています。しかし、服薬アドヒアランス不良をもたらす要因は患者さん一人ひとり違うもの。患者さんの服薬アドヒアランスに影響する要因を様々な角度からアセスメントし、服薬に対する患者さんの捉え方や意思を理解することが、患者さんの行動変容を促す第一歩となります。ケーススタディでは、HIVウイルス量が高く、服薬アドヒアランス不良が疑われる母子感染例を取り上げ、医師・看護師・カウンセラーそれぞれがアドヒアランス支援で果たす役割について活発にディスカッションしました。
質疑応答の時間には、会場からの積極的な発言、質問が相次ぎました。
当プロジェクトでは、今後も日越で診療体験、知見を共有し、医療従事者のHIVに関する知識向上を目指す研修を開催していく予定です。これにより両国関係者間のネットワークを強化し、HIV診療の技術向上に取組んでいきます。
セミナー後の記念撮影