HOME     What's new     ベトナム医療ナウ 海外の新型コロナウイルス感染症対策~ベトナムでは?~他1本

What's new新着情報

ベトナム医療ナウ 海外の新型コロナウイルス感染症対策~ベトナムでは?~他1本

ブログ  2020年6月3日 



海外の新型コロナウイルス感染症対策~ベトナムでは?~ 


1.ベトナムでのCOVID-19感染者数推移と政府の対策

 ベトナムにおいて初めての新型コロナウイルス感染者が、テト(旧正月)の大晦日1月23日にホーチミン市で確認されました。その後、北部でも武漢から帰国した企業研修生の集団感染がVinh Phuc省で発生、テト旧正月中にもかかわらず緊張感が一気に増しました。ベトナムにとっての新型コロナウイルス「第1波」でした。子どもたちへの流行を阻止するため、小・中・高校は1月末のテト正月明けから休校となりました。当初の感染者数に比して厳しめの措置が続き、「感染者が出たら村ごと隔離」といった徹底したクラスター対策が実施されました。2月末の段階で感染者数は16人に止まり、全員が退院。状況は収まったかに見えました。

20200526viet-1.jpg  しかし、3月上旬に海外から帰国した人たちからの感染報告が相次ぎ、緊張感は再度高まりました。その後ホーチミンのバーや、ハノイのバクマイ病院での院内感染など、市中集団感染が起き、ただ事ではないという雰囲気が国全体に漂います。中国から韓国、そしてイタリアを始めとした欧州、アメリカへと世界中にCOVID-19が広がるなか、各国からベトナムへの入国を制限しフライトも激減、3月下旬からはほぼ鎖国状態となりました。ハノイにいる日本人も「フライトが無くなる、身動きが取れなくなる」として帰国する人も多く出ました。

 この「第2波」を完全に抑えるため、4月1日には、首相指示による「全社会隔離」が、4月15日期限で始まりました。外出禁止ではないものの、相当に厳しい外出制限という「ほぼロックダウン」措置で、街の人通りは大変少なくなりました。不要不急な外出には罰金を課し、公安が街中を見回る状況になりました。バス、タクシー、配車アプリ、バイクタクシー利用も含め公共交通が停止され、買い物などでの外出は許されたものの、街中は自前の交通手段がない限り移動が大変困難になりました。



2.最近の状況

 4月15日に一部地域を除いて期限が延長された社会隔離政策ですが、ハノイ、ホーチミンなど大都市においても、もっとも厳しい社会隔離政策、移動制限が22日に緩和されました。これにより現在では(5月21日現在)、フィジカルディスタンスを保ちつつもレストラン、カフェなど含むほぼ全てのサービス業(ディスコとクラブは除く)が営業を開始できるようになりました。4月下旬から徐々に学校も再開、子供たちが約3カ月ぶりに登校できるようになっています。
 バクマイ病院は院内感染のため暫く「封鎖」されました。NCGMオフィスのあるNHTD旧病院もバクマイ病院敷地内にあるため「封鎖」されましたが、現在ではサーモグラフィーを設置して出入りする全員の体温を測りながらも、通常の診療を再開しています。

20200526viet-2.jpg

 5月21日現在、感染者数は324人(内治療中は58人)、死亡者数は未だにゼロと報告されています。海外からの帰国者から新規感染の報告は出るものの、市中感染は1カ月以上報告されていません。ベトナムの「第3波」を防ぐ姿勢は強く、外国人の入国は未だ原則禁止の状態が続いています。その抑え込みの徹底ぶりを世界から賞賛されたベトナム、今後はその緩和のあり方が更なる賞賛を呼べるか、「第3波」が防げるかどうか注目されています。



3.研究協力機関 NHTDの状況

20200526viet-3.jpg

  NCGMの長年の研究パートナーでもあるNHTDは、感染症対策の国立中央病院として、今回新型コロナウイルス対応で存在感を発揮しました。最初の感染者が発生した1月から臨戦態勢となり、ベトナム北部においては全ての感染者を基本的にNHTDに移送することが決定される(その後感染者数が多くなると、地方病院で治療するケースも)など、テト旧正月中から休むことなく感染者の治療、各種検査業務にあたりました。
 

 2月後半に一時落ち着きを見せたものの、3月の第2波を迎え、現地JICA・SATREPSプロジェクトオフィスも「在宅勤務にした方が良い」とのNHTD医師たちのアドバイスもあり、3月中旬からリモートワークを余儀なくされました。このような状況下で、NHTDの医師・スタッフは感染拡大防止のため、また院内の感染者対応のため、病院で寝泊まりを繰り返しながら対応にあたりました。3月からの第2波対応時には病院内で二人の医師が新型コロナウイルスに感染し、院内感染拡大も心配されましたが、その後抑えることができ、4月に入り感染者数が落ち着いて、ようやく少しずつ余裕を取り戻しました。それでも家に帰宅する前には病院内で1週間現場を離れ、隔離措置をし、その後ようやく家族の下に帰ることができるという徹底ぶりです。

 COVID-19感染者の治療に奔走したNHTDの努力はベトナム世論でも高く評価され、4月30日南部解放記念日当日の地元紙では医療関係者を讃える紙面に多くのNHTD医師の姿が掲載されていました。


 

SATREPSプロジェクトキャラクターご紹介

 SATREPSプロジェクトに新しいメンバーが加わりました。新型コロナウイルス対策も含めたベトナムHIV診療の向上のために奮闘するプロジェクトのアンバサダーとして頑張っていきます!


viet-tin.png

Tinとはベトナム語で「」を意味します。viet-tin-2.png
 ACCとベトナム側の病院が、これまで以上に強い頼関係を築き、ベトナムHIV診療の更なる向上を目指して協力していきます。
 できるだけ多くの方々にプロジェクトを知ってもらえるよう、アンバサダーとして頑張っていきます!今後ともご支援よろしくお願い致します。

ベトナム医療ナウのコンテンツは、作成時点でのベトナムメディア情報を翻訳し、その内容に基づいて記事を作成・掲載しています。この情報の正確性、相当性、完全性などに関する責任は各情報メディアに帰するものであり、当サイトは責任を負いません。