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ベトナム医療ナウ ベトナム、2030年でのHIV/AIDS撲滅に向けて、HIV/AIDS予防法改正案が成立他2本

ブログ  2021年2月3日 

ベトナム、2030年でのHIV/AIDS撲滅に向けて、HIV/AIDS予防法改正案が成立
(2020年11月17日 各紙より)

 2020年11月16日、ベトナム国会で国会議員総数の91.29%(投票参加者の100%)が賛成し、HIV/AIDS予防法改正案が成立した。「全員賛成」を記録した法案は、ベトナム国会史上3つ目。また法改正案の審議から成立までを一回の通常国会会期で達成した「スピード成立」は、ベトナム国会で初めてになるという。 下の図は、ベトナム保健省サイトに掲載されているHIV/AIDS予防法改正案の評決結果を日本語で示したもの。

ベトナム保健省サイトに掲載されているHIV/AIDS予防法改正案の評決結果を日本語で示しています


HIV/AIDS予防法が改正されました。保健省機関紙ウェブ版1の解説によると、今回改正案のポイントは下記4点です。
1.ハイリスクグループとしての同性愛者、トランスジェンダーなどの位置づけ
2.PrEPなど新しい予防療法の法的位置づけ
3.親の承諾なしでHIV検査を受けられる年齢を16歳以上から15歳以上に引き下げ
4.配偶者、婚約者、同棲者などへのHIVステータスの報告義務

ベトナム医療保険の「省境越え」(Thông tuyến tỉnh)開始
(2020年12月、2021年1月ベトナム各紙より)

 2021年1月1日より、ベトナムにおける医療保険制度適用が変更となり、医療保険に登録されている登録病院の所在地に関わらず、省を超えて他省の省レベル病院で医療保険を適用することが可能となった。ただし、この措置は入院治療に限られており、外来診療に関しては、これまでと同様、登録病院からの紹介状がなければ保険を適用することはできない。これにより、故郷を離れ都市で働いている人たちが居住地の都市病院に入院することを容易にしたり、省境付近に住む人が自分の住む省の省病院より近隣省病院の方にアクセスがよい場合などで入院しやすくしたりするなど、利用者メリットが生まれることが期待されている。一方、適用を入院治療のみに限定した理由について、保健省担当者は「省レベル病院が飽和し、基礎医療機関が閑散とならないようバランスを取る必要がある」と説明している。2


 徐々に進むベトナム医療保険制度の改正ですが、こちらの措置は、2014年の医療保険法改正で決められていた既定路線通りです。これまでも省を超えて他省の省病院に入院した場合「60%は保険医療が適用できる」とのことでしたが、これで更に利便性が増すことが期待されます。その一方、患者側からは省レベル病院(ハノイ市、ホーチミン市など省と同列の「市レベル」病院含む)を選ぶ動きも出てくると予想され、省レベル病院間で競争が進むだろうという報道3もあります。

ゲアン省のHIV感染者は約1.2万人、国内6番目の多さ
(2021年1月8日 VN Express 4より)

 1月5日に行われたゲアン省統計局記者会見によると、同省内のHIV感染者は、12,300人を超え、内7,000人がAIDSを発症しているとの数値が明らかになった。資料によると、感染者中、約10,000人は省内在住者、その他は他省在住の患者で、感染者数はベトナム各地方省・市の中で第6位の多さになる。感染者中、87%超は自身の感染状況を認識しており、また8割以上がART治療を受けている。過去5年間の感染者数はその前の10年間に比べて減少傾向にある。2015年は新規感染者737人だったのに対し、2019年は226人、2020年は5月末段階までで45人に止まっている。


  ゲアン省は、北部と中部の間の大きな省で、ベトナム国内の各省・市の中で最大の面積16,493km2を誇ります(日本で北海道に次いで面積が大きい岩手県と同じくらい)。海にも面していますが、ラオスと国境を接する山間部も多く、都市部の発展と山岳部の立ち遅れを両方抱える地方省と言えます。ベトナム国内では故ホーチミン国家主席の故郷として知られています。2019年人口センサスでも省・市別人口がホーチミン市、ハノイ市、タインホア省に次ぐ第4位で、HIV感染者数がある程度多いのは当然かもしれませんが、国境地域からの麻薬流入などの問題も抱え、大都市とは違ったHIV予防の難しさを抱えているようです。なお、今後、ゲアン省の協力病院がSATREPSプロジェクトに参加することとなっています。

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