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PrEP参加者失敗ケースにおける薬剤耐性結果の解釈に関するセミナーをハノイ医科大学と共催しました

SATREPS  2023年3月2日 

 SATREPSプロジェクトでは、PrEP失敗原因を検証するため、ハノイ医科大学でのPrEPプログラム参加者の内でHIV陽性に転じた人の薬剤耐性検査を実施するとともに、血中薬剤(TDF)濃度の測定のための血液検体および乾燥濾紙血を収集・保存してきました。前回の研究会でのTDF血中濃度測定技法の確立に関する報告を受け、2月13日にACCの岡慎一センター長をスピーカーとして、PrEP参加者失敗ケースにおける薬剤耐性結果の解釈に関するオンライン・オフライン取り交ぜたハイブリッド形式のセミナーをハノイ医科大学との共催で開催しました。

 PrEP失敗の原因は大きく二分されます。一つはPrEP参加者のアドヒアランス不良(指定通りにきちんと薬を飲むことができなかったケース)、もう一つはきちんと薬を飲んでいたにも関わらす予防内服薬に耐性のあるウイルスに感染したケースです。SATREPSプロジェクトではPrEP失敗ケースが出た場合、血液サンプルを取り、血液内の予防内服薬の濃度と感染したHIVウイルスの薬剤耐性変異を検査しています。これらの検査結果から、失敗の原因が利用者の服薬アドヒアランス不良か、ウイルスの薬剤耐性かが推測できます。
 報告によると、薬剤耐性検査結果からはハノイ医科大学PrEPでの失敗例において、薬剤耐性ウイルスの感染によるPrEP失敗よりもアドヒアランス不良によりPrEPの十分な効果が得られなかったケースが多いことが示唆されました。薬剤耐性ウイルスの感染によるPrEP失敗の場合、耐性変異の内容によってHIV治療薬の選択肢が変わります。今回は、これらのケースについて各々第一選択薬として推奨されるレジメンが説明されました。
 また、臨床的な側面からは、PrEP失敗を防ぐ予防対策が重要です。PrEP失敗者の中には、PrEP開始後間もなく、あるいはPrEP中断後にHIV感染が判明したケースが散見されました。このことから、PrEP開始前のHIV感染初期症状及びリスク行動のスクリーニングを強化する必要性や患者教育の重要性が議論されました。

 今回の発表にはハノイ医科大学から大きな関心が寄せられました。さらに今回の内容について、ハノイ医科大学からベトナム保健省HIVエイズ予防局に説明したいとの意向が表明されました。ベトナムにおけるHIV/AIDS撲滅に向け、カウンターパートから政策当局にプロジェクトのデータが報告され活用されることはプロジェクトの目標の一つである政策アドバイスに貢献する動きでもあり、大変喜ばしい提案でした。

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セミナー中のハノイ医科大学側の様子。今回も活発な意見が交わされました。